2007/02/11

パプリカ <2006/日本>

パプリカ <2006/日本>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

あぁ、こりゃ、ダメだわ。映画の中で、ヒロイン(敦子)がダメダメ科学者に「あなたはいっつもそうやって”やりたいこと”だけやって、”やらなきゃいけないこと”はなに1つやらない。そうやってずっとマスターベーションしてればいいのよっ」みたいなことを言うシーンがあるんだけど、「え、それこの映画のことだよね?」って感じ。

※思いっきりネタばれしてますので未見の方はご注意を。

「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」の今敏。

特に「東京ゴッドファーザーズ」なんてもう奇跡的なくらい良かった。アニメには珍しく(あんまり観てないから単にわたしが知らないだけなのかもしれないけど)、ちゃんと物語が成立してる。しかも、飛び道具的ファンタジーに逃げ込むことなしに。場面設定やら、人物描写やら、物語の背景やら、そういう面倒な本の土台作りをちゃんとできる。それって、アニメにゃ稀有だ、とそう思ってました。

もっと言うと、宮崎駿の後をとって、”オタク以外にもちゃんと響くアニメ”を描いていくのは彼しかいない、とまでわたしゃ、思ってましたよ…。そこまで評価してるくらいだから、今作、そりゃ、どうしても期待しちゃうじゃない。

でもよ…。一口で言っちゃうとさ。

期待外れ、以上。

なんだよね。

絵も綺麗だし、アニメでしか描けない絵を十分に堪能させてももらえました…、その意味じゃ楽しめましたよ、そりゃ。

でもね、中途半端な感じがどうしても拭えない。

何が中途半端かって、以下2点。

その1。エロが中途半端。中途半端であるがゆえに、下品。

分かりやすく言うと、”とってつけたかのようなエロ”。

ヒロイン(敦子)の裸を描きたいがためだけに、「囚われの身に」的なシーンを挿入。前後の脈絡もなしに最後、理事長と戦う時に、パプリカが赤ちゃんの状態から理事長を吸い込みつつ徐々に成長していき…、おいおい、これもただパプリカの裸を描きたかっただけじゃねぇか!しかも、なんで乳首がそんなピンクなんだよ…。あぁ、オタクの、オタクによる、オタクのためだけの、とってつけたエロ描写。品がないちゅうのはこういうこと言うんだろうね。

どっかでも書いたけど、やるなら、ちゃんと、やれ。やれないなら、やるな。

その2。ファンタジーが中途半端。

物語も成立せず、エロで痺れさせてくれるわけでもなく、じゃあ、もう逃げるところなんてファンタジーしかないですよ(わたしは嫌いだけど)。でも、これまた、なんか既視感に溢れた映像のオンパレード。コピペの連続。

例の電化製品やら人形やらのパレードは平成たぬき合戦or千と千尋。所長がパプリカに侵食されて肥大化するシーンはもののけ姫のデエダラボッチ。最後の赤ちゃんが肥大化するとこはAKIRA、肥大化したパプリカが理事長と戦うシーンはさながらウルトラマン…。はぁ、君の想像力はその程度かい…。 あたしゃ、これをオマージュって呼んであげられるほどいい客じゃないです。

今敏、頼むから、技に溺れないで、周りの高い評価にも溺れないで、オタクにおもねることなく、ちゃんと「大人にも観れるアニメ」をもう1回作ってくれ。