SPUN <2004/米>
SPUN <2004/米>
★★★★★★★☆☆☆ (7points)
いい!”この手の映画”の中では、ひっさびさに、いいッ!
”この手の映画”ってひと括りにしちゃうのもどうかとは思うけど、なんとなくこういうジャンルってあるよね。古いとこだと「トレインスポッティング」、新し目だと石井克人「Party7」やら関口現「サバイブ・スタイル5+」。
このジャンルの中では、ほんと久々に良い!期待値の低さに助けられた感はないわけじゃないけど、それにしても、いい!!
この手の映画ってね、完全に私見だけど、「どこまでお馬鹿になれるか」っていう突き抜け具合と、「どこまで生活の痛さを描けるか」っていう切なさ具合のバランスが肝でしょ。ただ馬鹿やってても「ばかだねぇ~」で終わっちゃうし、痛いだけの映画なら腐るほどあるし。しかも、ちゃんと馬鹿やった上でじゃないと、痛さをちゃんと描けないってこともあるし。
でだ。
上に挙げた「Party7」も「サバイブ・スタイル5+」も嫌いじゃないんです。つーか、むしろ、好きの範疇に入る。でもね、なんかこう、煮え切らないというか、もう一息というか、もうちょい頑張れよ、というか、まあ、なんか足りないものを感じていたわけ。
で、この映画観て、何が足りてなかったのか、ようやく分かった。
「Party7」も「サバイブ・スタイル5+」も、ただ、馬鹿やってるだけなんだよね…、結局は。
その昔、「トレインスポッティング」に感じた思いとおんなじものを、このSPUNから受けた。そして、それって、上に書いた「お馬鹿」と「痛さ」の絶妙のバランス感覚なんだろう、とそう思う。
前半戦の突き抜け具合(ジョン・レグイザモのチ○コ靴下なんて、もう最高じゃない)と、後半戦のなんとも言えない痛さと切なさ(ブリタニー・マーフィーとジェイソン・シュワルツマンがドライブしながら、徐々にお互いの内面を吐露し合う…でも、お互いに自分の本当に言いたいことを吐き出しているだけなので、コミュニケーションは成立しない…なんて、もぅ…素敵すぎる…)。かと言って、「笑えて、泣ける」なんて安直なところには回収させず、むしろ「笑えないし、泣けない」…。でも、なんか、妙な重いものが心の底に残っている、そんな感じ。
お勧めです!