2007/03/05

ワールド・トレード・センター <2006/アメリカ>

ワールド・トレード・センター <2006/アメリカ>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

911がアメリカという国に与えた衝撃の大きさ、傷の深さが今ようやく分かった。あのオリバー・ストーンにこんなどうしようもない映画を作らせちゃうんだからね。

題材が題材だけに、悪口言いづらいですが…、あえて言います。

これ、まるでダメですよ。こんなもん映画じゃない、と極論したくなるくらい、最初から最後まで全部ダメ。なんか、低予算でやっつけで作りました、って匂いがプンプンする。

まず、脚本。お前、予算がないからってわざと閉じ込められてるシーン増やしただろ。そこに人間ドラマを感じるほど、こちとら優しくないよ。しかも、キリスト出すな。たぶん安易に「ゴドーを待ちながら」(@ベケット)を下敷きにしたんだろうけど、失礼だよ、それ、ベケットに。

はい、次。カメラ。場面を暗転させる手法は「ブラッディ・サンデー」(@ポール・グリーングラス)の真似か?まぁ、それは他の映画でもよくやる手だからいいんだけど…、全然決まってないから観てて痛々しいぞ。目が痛いだけ。

最後、役者。特に海兵隊員!お前は…、誰だ?人物の背景描写が全くないから、お前、ただの軍事オタクじゃねぇか!…あ、これも結局、脚本か…。まぁ、いいや。

ってことで、全部ダメ。

これ観るくらいなら、「9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実」(@ジュール&ギデオン兄弟)の方が、1000倍まし。危険な現場へと自ら入っていく警官(こっちの映画は主に消防士だけど)の勇気も、身に迫った恐怖を実際にはそれほどリアルに感じられない、という恐怖も、人間が地面に叩きつけられるどうしようもないくらいつらい音も、全部、こっちの方が上。

アメリカはこの事件を咀嚼し、消化し、映画へと昇華するのに、あと10年はかかるんじゃないだろうか?…というよりも、それが正しい姿なんじゃないだろうか?