2007/05/15

明日、君がいない <2007/オーストラリア>

明日、君がいない <2007/オーストラリア>

★★★★★★★★☆☆ (8points)

スゴイ映画を観ました。去年のカンヌでは上映後20分間のスタンディング・オベーションが起こったらしいけど、これ観た後、すぐ立ち上がれる人は、そもそもこの映画がちゃんと理解できてない人なんじゃないだろうか?

現在公開中のこの映画。観に行きました。

物語はこんな感じ。

映画の冒頭で、あるオーストラリアの平凡な高校で、午後2時37分に、誰かが自殺したことだけ、知らされる。で、その後は、その高校に通う男女の生活がその日の朝から時間軸にそって淡々と描かれる。両親からの過度の期待に押し潰されそうになる優等生のマーカスやら、その妹で両親のいない時の兄の変貌振りに怯えるメロディーやら、マッチョをきどりつつも実はゲイのルークやら、ゲイ&ジャンキーのショーンやら、いじめられっこ&転校生のスティーヴンやら。1人1人それぞれ色んな悩みを持っていて、もう誰が死んでもおかしくない。その意味じゃ、ある意味、これ、犯人探しのサスペンスとおんなじ構成。他殺が自殺に変わっただけ。

でね、前半、というか、最後10分を除き、全部、超退屈。だって、彼ら/彼女らの悩みってやつが、それぞれにとってはそれはそれは大変な問題なんだろうけど、こう言っちゃなんだけど、全部、普通。「そういうの、昔、さんざん観たよ、野島伸司のドラマで」って感じで、既視感にあふれる。「あぁ、下らねぇ映画観ちゃったな」ってその時点でちょいと後悔。

でもね。最後の最後で…、はい、まんまと騙されました。おじさん、たまらず、「えぇッ」って声出ましたよ、映画館なのに…。

で、もうその後は、エンドロール終わっても、立てない…。ほんの10分前までは、「野島伸司かよ…ッ」と上田晋也ばりの華麗なるツッコミをちっちゃくつぶやきつつ、エンドロール始まったらすぐに颯爽と出て行ってやろうと思っていたのに…、そもそも立てない…。

思い切りネタばれになるので、ここから先は書きませんが、とにかくこれは観といた方がいいです。

 ※ちなみに、まだ渋谷のアミューズでやってる、はず。

プラダを着た悪魔 <2006/米>

プラダを着た悪魔 <2006/米>

★★★★★☆☆☆☆☆ (5points)

可もなく不可もなし。毒にもならず薬にもならない。暇つぶしにはもってこい、ですな。

ファッション誌のカリスマ鬼編集長(メリル・ストリープ)のアシスタントにふとしたきっかけでなってしまったジャーナリスト志望の女の子(アン・ハサウェイ)が、怒られ、いびられ、いじめられながらも、アシスタントとしての仕事をおぼえ、まるで興味のなかったファッションにも徐々に目覚めていく…、である地点までできるようになると、ふと我に返って、「あれ、一体わたしは何がしたいの」と自分探しを始める…。

まぁ、なんて、ありがちな物語なんでしょ(書いててこっちが恥ずかしくなるくらい)。

でも、一応、最後まで観ちゃいました。だって、観てて疲れないから。

テンポもいい。ストーリーもこっちの予想をまるで裏切らないので頭使う必要がない。アン・ハサウェイはかわいい。

要は、ぼけっと、ファッション・ショーを2時間見てる感じ。

ということで、本作、観た後に何も残りません(個人的にはジミー・チュウを憶えたくらい)。でも、そもそも、映画観て何かを残そうと思うこと自体、ロマンチック過ぎると考える方々には、うってつけの映画でしょう。

2007/05/11

劇場版アニメーション 時をかける少女 <2006/日本>

劇場版アニメーション 時をかける少女 <2006/日本>

★★★★★★★☆☆☆ (7points)

うん、悪くない悪くない。ジブリが最近こけまくってるので、久しぶりにこの手のアニメで良質なものを観た感じがする。

評判通りですね。いいです、これ。

あんまりアニメ観ないから、何がいいのか、うまく言えないんだけど、たぶん、この映画、「引き算」ベースで作ってるんだと思う。で、それがとてもうまく機能したんだと思う。

つまりね、たぶんこの映画の主題は「時間ってものの人知を超える謎を身をもって体験してしまった人間の”前向きな”諦観」でしょ。理解できない不条理を、生まれて初めて体験した子が、どうやってそれを受容し、乗り越えていくか、ってことでしょ。で、とにかくそこを焦点化するために、それ以外の部分については、黒子に徹する。ありきたりな絵、ありきたりな声、ありきたりなセリフ。それら陰の部分によって、アニメにしてはありきたりじゃない奥行きのある物語を浮き立たせる。作戦がばっちり決まっていますね。

こういう筋肉質な映画を観ると、なんかすがすがしい気持ちになります。この監督(細田守)については、次回作も期待できそうです。

パッチギ!LOVE&PEACE <2007/日本>

パッチギ!LOVE&PEACE <2007/日本>

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (採点不能、つーか採点したくない)

あぁぁ。がっかりし過ぎて、何も言えない。あぁぁ…。

前作「パッチギ!」は実は私の「心のベストテン第一位」(古い…)なんですよ。あまりに好き過ぎて、レビューなんて書けないくらい。たぶんもう30回以上は繰り返し観てて、そのたんびに、泣かされてる。

で、その続編のこれ、試写会行って来ました(ずいぶん前だけど)。

…空いた口が塞がらない、ってのはこういうことを言うんでしょうね…。あまりの駄作ぶりに唖然とした。

ネット上では、反日感情がどうの、歴史認識がどうの、って相変わらず喧々諤々、不毛な議論が前作同様、巻き起こっているみたいですが、そんなことはどうでもよくて…、”映画として観て”、これ、救いようのない駄作です。

物語が全部中途半端で焦点なし。せっかく、父親との血の繋がりやら、息子の病気やら、芸能界でのキョンジャの苦悩やら、おいしいネタがこんなにあるのに、全部、ちゃんと料理できず。

役者も役者でこれまたどうしようもない。アンソン役の井坂俊哉はただの気のいいあんちゃんで、なんかウルトラマンなんちゃらのなんちゃら隊員とかで出てきそうな感じ。キョンジャ役の中村ゆりはたしかにかわいいんだけど、かわいいだけ。明らかに意図してやってるアヒル口がやたら鼻につく…(笑)。

やっぱりさ、「パッチギ!」は青春映画であるべきなんだよ。3作目、作ってもいい。でも、頼むから、安易に物語を先に進めずに、「岸和田少年愚連隊」方式に変えてくれ。…でも、たぶん、もういくらやっても駄目でしょうね、これじゃ。1作目は奇跡だったんだ、と自分に言い聞かせて、これだけをこれからも観ていくことにします…。

はぁ。

ヨコハマメリー <2005/日本>

ヨコハマメリー <2005/日本>

★★★★★★★☆☆☆ (7points)

リアル嫌われ松子。逆説的だけど、これぞ映画です!

前から気になっていたこのドキュメンタリー。でもなんか、覗き見趣味のような不純な動機で観る自分も嫌だよなぁ、とか、横浜なんて別になんの思い入れもねぇし、とかなんだかんだで言い訳しつつ、なかなか手が伸ばせなかった、このドキュメンタリー。

意を決してようやく観ました。

結果はね、もうなんでもっと早く観なかったのか、ってほんと後悔した…。

手法はたしかにドキュメンタリーなんだろうけど、これぞ、映画ですよ。もう最後は泣けて泣けて仕方なかった。

話の筋はこんな感じ。

かつて、娼婦として横浜の街に立つ白い化粧に純白のドレスの老婆がいた。彼女のことを、人は、「メリーさん」と呼んだ。そんなメリーさんが、1995年に忽然と、横浜の街から消えてしまう。

で、メリーさんの人生とはどんなものであったのか描こうとしていくドキュメンタリーなんだけど、面白いのは、メリーさんの人生をメリーさん自身の言葉で語らせるのではなく、メリーさんに繋がる他の人間の言葉で語らせるとこ。ポジティブに語る人、ネガティブに語る人、実際にメリーさんと直接触れ合ったその感触を語る人、ただの噂レベルの伝聞情報で語る人、メリーさんを語りながらも次第に趣旨を忘れて自分の若かりしころの思い出話を始める人…。もう多種多様。でも次第にその雑多な言葉の集合が、メリーさん(の像)を紡いでいく。で、そこに横浜の風景の中に写るメリーさんの写真が頻繁に挿入される。はぁ、こういう不思議な人が昔いたんだなぁ、と、そんな感じ。

でね、そこで終わってたら、これ、ただの都市伝説ですよ。でもね、この映画、最後の最後で、そういう薄っすらとしたイメージ(メリーさん像)を無意味化する(どうでもいいものにする)圧倒的な映像を持ってきます。それが何かはネタばれになっちゃうので言わないけど、ここがこの映画の主題でしょう。やや冗長な中盤をこらえにこらえて、頑張ってでも、観るべきです。うまく言えないので、やたら大袈裟な表現になっちゃうけど、人が生きてるってことの重みというか厚みというか、そういうものをこれだけ訴えかける映像を、私は、これまで観たことがない。神々しいとまで、私は思いました。

この映画、真実を追究する類のドキュメンタリー、もしくは、社会問題を告発する類のドキュメンタリーとして観てしまうと、たしかに超駄作です。だって伝聞情報そのまま載せちゃってるし、路上生活者たるメリーさんの悲哀なんてまるでちゃんと描こうとしてないし…。

でもね、これ、映画として観たら、間違いなく傑作ですよ。マージナルな人のマージナルな人生をこれほど真摯に正面から描いた映画を私は他に知りません。

※ここまで褒めちぎっといて7点なのには訳がありまして…。インタビューに答える五大路子(メリーさんを題材にした1人芝居を演じる女優)があまりに芝居がかってて、うざい。他の登場人物全て、素の自分で語ってるのに、彼女だけ、違う。明らかに浮いてる。マージナルな対象たるメリーさんに私はこんなにスポットライトを当ててます、しかもこんなに柔らかくて暖かいスポットライトを当ててます、こんな私って、偉くないですか?みたいな嘘っぽさをどうしても感じてしまう。藤原紀香が醸し出すのと同じ嫌らしさを感じる。他がいいだけに、なんでこんな薄っぺらい人間を差し込んじゃったのか、不思議でしょうがない…。

2007/04/25

シュガー&スパイス 風味絶佳

シュガー&スパイス 風味絶佳 <2006/日本>

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (1point)

誰か教えて下さい。どうやったらこんな映画が公開できるのでしょう?

おいおいおいおいおいおいおい…。これはなんでしょう…。ここまで駄目だと、逆にワクワクしますね。一体どこまでやってくれるのかって…。

いつまでたっても「誰も知らない」を越えられない柳楽優弥に、いつまでたっても「パッチギ!」を越えられない沢尻エリカ。脈絡のないチェン・ボーリンに、1人浮いてる夏木マリ。頑張ってるのにいっこうに笑えないコメディに、センスの欠片もないセリフ。テレビドラマそのものの絵と、テレビドラマそのもののベタな展開。

ちょいと想像してみて下さい。柳楽優弥のあのボソボソっとした声でこういうナレーションが入る。

 いやよいやよも

 好きのうち

 っていうのは

 おとこの勝手な

 いいぶんなわけで…

鳥肌立つか、爆笑するか、どっちかでしょ、これは…。

頼む。頼むから、こんなどうしようもない映画に、あの奇跡のアンソンとキョンジャ(@パッチギ!)を一緒に出さないでくれ。

2007/03/23

SPUN <2004/米>

SPUN <2004/米>

★★★★★★★☆☆☆ (7points)

いい!”この手の映画”の中では、ひっさびさに、いいッ!

”この手の映画”ってひと括りにしちゃうのもどうかとは思うけど、なんとなくこういうジャンルってあるよね。古いとこだと「トレインスポッティング」、新し目だと石井克人「Party7」やら関口現「サバイブ・スタイル5+」。

このジャンルの中では、ほんと久々に良い!期待値の低さに助けられた感はないわけじゃないけど、それにしても、いい!!

この手の映画ってね、完全に私見だけど、「どこまでお馬鹿になれるか」っていう突き抜け具合と、「どこまで生活の痛さを描けるか」っていう切なさ具合のバランスが肝でしょ。ただ馬鹿やってても「ばかだねぇ~」で終わっちゃうし、痛いだけの映画なら腐るほどあるし。しかも、ちゃんと馬鹿やった上でじゃないと、痛さをちゃんと描けないってこともあるし。

でだ。

上に挙げた「Party7」も「サバイブ・スタイル5+」も嫌いじゃないんです。つーか、むしろ、好きの範疇に入る。でもね、なんかこう、煮え切らないというか、もう一息というか、もうちょい頑張れよ、というか、まあ、なんか足りないものを感じていたわけ。

で、この映画観て、何が足りてなかったのか、ようやく分かった。

「Party7」も「サバイブ・スタイル5+」も、ただ、馬鹿やってるだけなんだよね…、結局は。

その昔、「トレインスポッティング」に感じた思いとおんなじものを、このSPUNから受けた。そして、それって、上に書いた「お馬鹿」と「痛さ」の絶妙のバランス感覚なんだろう、とそう思う。

前半戦の突き抜け具合(ジョン・レグイザモのチ○コ靴下なんて、もう最高じゃない)と、後半戦のなんとも言えない痛さと切なさ(ブリタニー・マーフィーとジェイソン・シュワルツマンがドライブしながら、徐々にお互いの内面を吐露し合う…でも、お互いに自分の本当に言いたいことを吐き出しているだけなので、コミュニケーションは成立しない…なんて、もぅ…素敵すぎる…)。かと言って、「笑えて、泣ける」なんて安直なところには回収させず、むしろ「笑えないし、泣けない」…。でも、なんか、妙な重いものが心の底に残っている、そんな感じ。

お勧めです!

2007/03/22

イーオン・フラックス <2005/米>

イーオン・フラックス <2005/米>

★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3points)

「シャーリーズ・セロン、綺麗だねぇ~」としか言えない映画。「それでも見る価値あり」、とはわたしには口が裂けても言えません。

大好きなシャーリーズ・セロン。サイダー・ハウス・ルールで惚れて、モンスターに痺れた。そんな彼女が、今回はSFアクション…。嫌いなんだよね、このジャンル。物語がないから。ってことで、だいぶ心配しつつ、鑑賞。

結果、あぁ、やっぱりね。心配した通りじゃん。

無意味なアクションに、ありふれたSF。はいはい、もういいよ、わかったからさ。

「今ここ」でないもの、「今ここ」にないもの、「今ここ」にいない人、を創作しようとする映画なんだからさ、映画の出来の全ては、製作者の想像力にかかってるわけですよ。で、逆に言うと、それが分かった上でこの映画作ってんだから、製作者は自分(たち)の想像力に相当自信があるんでしょ。…でも、これ、なによ?子供でも思いつく、使い古されたイマジネーション、だけしかないじゃん。とってつけたような「クローン」だの「不妊」だのにごまかされるほど、こちとら、お子ちゃまじゃないのよね。

ってことで、本映画、観るところ(=鑑賞に耐えられるところ)は、シャーリーズ・セロン(の美しさ)しかありません、やっぱり。

それしかないことを知った上で、「それでも観る価値あり」と思える人もいるんでしょう。

でも、そこまでいい観客にはわたしはなれませんね…。むしろ、これが「もしシャーリーズ・セロンじゃなかった場合」にどんなに救いようのない映画になってたかって想像しちゃって寒くなり、挙句の果てにそのしょっぱさにちょっと笑えてきて、シャーリーズ・セロンどころじゃありませんでした。

シャーリーズ・セロン、頼むから、出る映画を選んでくれ。

2007/03/19

裸足の1500マイル <2002/オーストラリア>

裸足の1500マイル <2002/オーストラリア>

★★★★★★★☆☆☆ (7points)

悪意ある悪に比べて、善意から来る悪のなんとたちの悪いことか。そんな救いのない悪に比して、子供たちの帰巣本能のなんと純粋で高貴なことか。

逃げて、逃げて、逃げるだけの映画。そこには何のひねりもトリックもない。だからこれを退屈って人も当然いるでしょう。

でもね、この映画、このシンプルなストーリーこそが、命ですよ。

物語がシンプルで、かつ、絵もシンプルなこと。それによって、この映画、以下のアイロニーが浮き上がる仕掛けになってるんだ、と、そうわたしは観ました。

ただ、母の元に帰りたい。だから、たとえそれが遠い道のりだろうが、ただただ、帰る。これ、帰巣本能ですね。私は、彼女たちに、”人間はどこまでいっても結局は動物であり、かつ、結局は動物であるがゆえに人間である”という逆説を見ました。

そして、その子供たちに比した場合の、白人文化の側のなんと非人間的なことか。自らの動物性を否定しよう否定しようとせんがため、文化文明に身を包み、弱者保護のロジックで武装する。しかし、その彼らの「正義」が行き着く先は、ただの圧迫と強制でしかない。”動物性を拒否すればするほどに、人間性からも遠ざかっていく”という逆説。

あぁ、こういう芯の通った根の深い人間の問題をこそ、映画は撮らなくてはならない。小手先のテクニックが先行した映画多き、現在の邦画。人がどんどん入るようになって、いまや、それらしく作ってあれば何でもありみたいな状態にも見える今の邦画の底の浅さが透けて見える。

2007/03/07

0:34 レイ_ジ_34_フン <2005/イギリス>

0:34 レイ_ジ_34_フン <2005/イギリス>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

この映画、85分と短いですが、これ、凝縮して短くなったんじゃなくて、85分そこらまでしかネタが続かなかった、って感じだね。下らないので、相当暇な人以外、観る意味ないですね、これ。

ほんのちょっとの思いつき。作った本人は「これはすごい思いつきだ」と思っていたであろう超安易/超凡庸なる思いつき。そんな下らないことで、映画なんて作っちゃダメだよ。

<--以下、想像-->

・地下鉄で終電が行った後に構内に閉じ込められたら…、おもしろくない?
・だとしたら、なぜか次の電車が来ちゃうことにしない…、うんうん。
・で、構内で殺人鬼に追われる女…、あ、それいいね。
・でもさ、いくらなんでもただ追われるだけじゃ納得感ないからさ、とりあえずなんかそれらしい過去繕っとこうよ…、そだねぇ。
・じゃあさ、じゃあさ、とりあえずなんかそれっぽいからあ、えーと、”なにがしかの理由で今は地下に封印された謎の病院”…、お、それいいね!そしたら、”胎児の標本とか大量に保存してあることにしちゃおうよ、なんとなく謎っぽいっしょ、これ。
・”そこで産まれ外界との接触なしに育った男”…、完璧ジャンっ!
・あとは、適当に画面暗くしときゃなんとなくそれっぽいっしょ! …Yes!


…って、アホか。

2007/03/05

ワールド・トレード・センター <2006/アメリカ>

ワールド・トレード・センター <2006/アメリカ>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

911がアメリカという国に与えた衝撃の大きさ、傷の深さが今ようやく分かった。あのオリバー・ストーンにこんなどうしようもない映画を作らせちゃうんだからね。

題材が題材だけに、悪口言いづらいですが…、あえて言います。

これ、まるでダメですよ。こんなもん映画じゃない、と極論したくなるくらい、最初から最後まで全部ダメ。なんか、低予算でやっつけで作りました、って匂いがプンプンする。

まず、脚本。お前、予算がないからってわざと閉じ込められてるシーン増やしただろ。そこに人間ドラマを感じるほど、こちとら優しくないよ。しかも、キリスト出すな。たぶん安易に「ゴドーを待ちながら」(@ベケット)を下敷きにしたんだろうけど、失礼だよ、それ、ベケットに。

はい、次。カメラ。場面を暗転させる手法は「ブラッディ・サンデー」(@ポール・グリーングラス)の真似か?まぁ、それは他の映画でもよくやる手だからいいんだけど…、全然決まってないから観てて痛々しいぞ。目が痛いだけ。

最後、役者。特に海兵隊員!お前は…、誰だ?人物の背景描写が全くないから、お前、ただの軍事オタクじゃねぇか!…あ、これも結局、脚本か…。まぁ、いいや。

ってことで、全部ダメ。

これ観るくらいなら、「9・11 N.Y.同時多発テロ衝撃の真実」(@ジュール&ギデオン兄弟)の方が、1000倍まし。危険な現場へと自ら入っていく警官(こっちの映画は主に消防士だけど)の勇気も、身に迫った恐怖を実際にはそれほどリアルに感じられない、という恐怖も、人間が地面に叩きつけられるどうしようもないくらいつらい音も、全部、こっちの方が上。

アメリカはこの事件を咀嚼し、消化し、映画へと昇華するのに、あと10年はかかるんじゃないだろうか?…というよりも、それが正しい姿なんじゃないだろうか?

2007/02/26

嫌われ松子の一生 <2006/日本>

嫌われ松子の一生 <2006/日本>

★★★★★★★★★☆ (9points)

悲しい話を悲しく描くなら小学生にでもできる。悲しい話を可笑しく描くなら中学生にでもできる。悲劇や悲喜劇へと安易に回収されてしまうことを徹底的に拒む、そんな奥行きのある物語は中島哲也にしか撮れない。

すばらしい!もう何回言ってもいいけど、すばらしい!!

ここ10年の邦画の中でも1,2を争う超名作。もう奇跡でしょう、これは。

でもどうも一般の評価は芳しくないみたいね。いわく、「泣くに泣けない」「笑うに笑えない」。正直、アホか、と思う。どっちに転んでも、この映画、なんの価値もなくなっちゃうじゃん。

思うに。

”悲しい物語にポップな絵を乗せた”のは、わざと。映画が安易な涙(による安直なストレス解消)へと収束化してしまうことを拒絶せんがため。この意味で、映画が悲劇へと回収されてしまうことを否定する。

また、”悲しい物語にポップな絵を乗せて展開する物語の終点に圧倒的な悲劇を持ってきた”のも、わざと。悲しい話を笑いながら消費してしまう安直な悲喜劇に対する否定。観た後に何も残らない「ちゃんちゃん♪」を拒否する。

だから、観客は取り残される。なんとも言えないいやぁな感じが残る。泣けず、笑えず。「だから何?何が言いたいの?」ってどうしても、言いたくなる。

でもさ、”泣けるだけの人生”やら”笑えるだけの人生”なんて、そんなもん、ないでしょう。そして、何を言いたいか、そのメッセージがはっきりしてる、そんな人生なんて、あり得ないでしょう。人の人生は他の人に対して、何とも言えない白黒がはっきりしない曖昧な意味を持ち、人はそれを自分なりに咀嚼して咀嚼して、いい意味でも悪い意味でもそこから学んでいくんでしょう。

その意味で、人の「一生」を描くとしたら、この方法しかないんだよ。もちろん、その”適切な”描き方は今の時代の期待値に合致しないかもしれない。でも、その描き方以外のどの方法も、全てどこか安易な割り切りを前提とする。

難しい道を選択し、それを形にした、中島哲也に最大級の賛辞をおくりたい。

2007/02/25

イノセンス <2004/日本>

イノセンス <2004/日本>

★★★★★☆☆☆☆☆ (5points)

ごめんなさい、おじさんにゃ、何がなんだか、さっぱり。話についていけんかったよ。

この手のアニメって苦手でさ、ずっと喰わず嫌いだったんだけど、一念発起して、いっちょ観てみようかと、そう思って観てみました。

…でもさ、寝ちった。

だって、物語に全くついていけなかったんだもん。

絵が綺麗だし、CGも素敵でしたよ、たしかに。

でも、わたしゃ物語を観るために映画観てる人間なので、物語を理解できない映画を観続けられるほど忍耐強くないんだよね。

2007/02/24

仁義なき戦い <1973/日本>

仁義なき戦い <1973/日本>

★★★★★★★★☆☆ (8points)

最高です。文句なしです。何度観ても痺れますね。

「癒し系の映画」なんてのは言葉としてそれ自体矛盾しておる、とわたしは常々思っています。日常だろうが、非日常だろうが、そんなことは何でもいいけど、ある種のテンションの高ぶり(熱のようなもの)を見せてくれないと、満足できるわけないじゃん、と、まあ、いつもそう思って映画観てます。極論するとね、その熱が向かう方向なんて、なんでもいいのよ。それが、色恋沙汰に向かおうが、暴力に向かおうが、変態に向かおうが。どっちに向かってもいいけど、ちゃんと突き抜けてくれればそれで良し。

その意味じゃ、これ、いつ観ても、何度観ても、その熱に打たれます。エネルギーが向かう先は、終わりのない暴力なんだけど、暴力がどうのこうのの前にまずそのエネルギーの大きさに、痺れます。

うまい説明なんて最初から諦めてますが…、とにかくこれだけは観とかないとまずいでしょう。

しかし、この当時の役者って、みんなすご過ぎる。梅宮辰夫なんて今じゃただのアンナパパor漬物チェーンのオーナーさん(今もあんのかな?)だけど、まぁ~、昔はすげぇ役者だったんだね…。

2007/02/23

フェア・ゲーム <1995/アメリカ>

フェア・ゲーム <1995/アメリカ>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

100%男目線で言うと、シンディ・クロフォードに萌えられるか否か、この一点に全てがかかっている、そんな映画。シンディ・クロフォードのPVでしかありません。

シンディ・クロフォードってたしかに綺麗だけど、ちょいガサツな感じしません?大雑把というか。なので、正直、ちょっと苦手なんですよね、私。一言で言うと、萌えません…。

そんな私には、これ、ただのB級映画にしか見えませんでした。観るべきところはほぼ皆無。気付いたら途中で寝てました。

ま、彼女に萌えることができる男子には、価値のある映画なのかも、とは思う。

でもさ、素朴な疑問なんだけど、こういう映画、そもそも女の人ってどういう目線で観てるんでしょう?

凡庸な物語にチープな映像、とってつけたかのようなまるで萌えないエロ。唯一、シンディ・クロフォードの美貌(あたしゃ、そうは思いませんが)、それだけが救い。そんな映画、女性にとって、暇つぶし以外のポジティブな意味を持つのでしょうか?

2007/02/22

ユーロトリップ <2004/アメリカ>

ユーロトリップ <2004/アメリカ>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

いやぁ~、馬鹿だねぇ~。笑わしてもらいました。

ハイテンションのマンUサポーター(@ロンドン)、ロボットパントマイムのおじちゃんとのカンフー対決(@パリ)、電車の中のオカマ親父(@イタリア、か?)、極めつけは男だらけ、チ○ポだらけのヌーディストビーチ(@あれはどこだ…?)、笑いましたね。いいね、こういう馬鹿映画。

でも、映画で笑ってもねぇ。あたしゃ、そんなの求めて映画観てんじゃないのよね。2時間近くもこんな下らないものを見続けた自分に対する軽い自己嫌悪を否定できず…。

2007/02/21

わが道 <1974/日本>

わが道 <1974/日本>

★★★★★★★★☆☆ (8points)

はい、これすごいです。こういうのをドラマって言うんですよ。


極端なナナメ目線であることは百も承知ですが、私はこの映画、ある意味、究極のエロ映画だと思います。

死んだ旦那(殿山泰司)の身体(死体)を粗末に扱ったことに憤る妻(乙羽信子)。

これをまっすぐに観れば、それが物体としては死んだ身体であったとしてもそれは過去に人間の魂を入れていた入れ物であって、人間の尊厳はそこにまでちゃんと及ぶ、それを粗末に扱う(医大の解剖実験に勝手に使う)なんて許されん、告発してやる、っていう一般的な話になる。それは分かる。その目線でいうと、これ、普通の”社会派”の物語。

”社会派”ドラマとしても、これ、一流です。でもね、なんかそこに収まらない不思議な情念の深さのようなものがある感じがして、それがこの映画の奥行きになっている気がした。そして、どちらかというと自分はそっちに痺れたんだよね。

で、それって何なんだろうって考えてみると、ここだいぶ飛ぶと思いますが、社会的に許される許されないなんていう一般的な善悪のレベルじゃなくて、妻の旦那の身体に対する性愛レベルの情念じゃないかな、と。旦那の身体は私のもので、私はその身体をこれまでも愛でてきたし、たとえそれがただの有機物になったとしても、今も愛している。人間の尊厳とかそういう小難しいことは分からないけど、とにかく、私が愛した夫の身体を私に返せ。

東北の田舎で暮らす老いた妻(乙羽信子)が東京にまで出張っていって、役人たちを告発する。そこまでのことを妻にさせる駆動力は、尊厳うんぬんなんていう社会派の憤りじゃ足りなくて、何か別のもっと深い部分の情念が必要、だと思うわけ。で、ごく個人的な性愛に端を発する情念と怨念をそこに補完する。それって、私にはすっごく納得できた。

客観的な視点と主観的な視点とが明に暗に絡み合った素晴らしい物語。こういうのをドラマっていうんでしょうね。

2007/02/19

ローレライ <2005/日本>

ローレライ <2005/日本>

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (1points)

こんな映画を恥ずかしげもなく製作できてしまう国、しかもこんな映画にちゃんと人が入ってしまう国に生まれてしまったことを少々後悔しました。

ひっでぇ~~~~。あまりのひどさに、どこまでやってくれるのか、ちょい興奮した…。

中途半端な恋愛物語(妻夫木聡/香椎由宇)に中途半端な戦闘シーン(金かかってないちゃちなCG)、中途半端なSF(「最終兵器ローレライの中枢は人間」て、おい)に中途半端な国威発揚(俗情に媚び過ぎ…)。

はい、これ、全部一緒に食べて、おいしいと思う人、手挙げてください。

「製作:亀山千広」で、全部納得しましたが…。

もうやめようよ。恥ずかしいから。

2007/02/18

青の炎 <2003/日本>

青の炎 <2003/日本>

★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3points)

なんだこりゃ。もう笑っちゃうくらいに全部ダメ。

冒頭から「あれ」っていう違和感があったんだよね、実は。

主人公(二宮和也)が自転車(ロードバイク、か?)で通学するときの画面の構図。背景は海、でそこから自転車に乗った二宮くんが坂道を駆け上がってくる。急なのぼり坂なので、徐々に二宮くんが現れてくる。一言で言うと、「ふ、ふりぃ~~」。「大丈夫か、蜷川幸雄…?」。

でね、ちゃんと最後まで観ましたよ。だいぶ苦しかったですが。

結論だけ言うとね、もう久しぶりに観たどうしようもない映画。脚本、役者、絵、演出、全部もう笑っちゃうくらいダメ。ここまでダメだと逆に痛快。

いちいち書く気力もないけど、1つだけ書いておくと、二宮くん。最近じゃ「うまい、うまい」って上げられてるそうなので、期待して観てたんだけど、全然下手くそじゃん。人殺しちゃう役なのに、狂気がちらりとも見えない。壊れゆくその過程が観てるこっちにまるで伝わってこない。「青の炎」って「若くて幼くてそれゆえに綺麗な、狂気」のことだって思ってた…俺が間違ってたのか?!これ観せられたら、今の持ち上げ方も、結局は、「”ジャニーズなのに”演技がうまい」っていう下駄はかされた括弧つきの評価なんじゃねぇの、って勘繰っちゃいます。

以上。

2007/02/11

パプリカ <2006/日本>

パプリカ <2006/日本>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

あぁ、こりゃ、ダメだわ。映画の中で、ヒロイン(敦子)がダメダメ科学者に「あなたはいっつもそうやって”やりたいこと”だけやって、”やらなきゃいけないこと”はなに1つやらない。そうやってずっとマスターベーションしてればいいのよっ」みたいなことを言うシーンがあるんだけど、「え、それこの映画のことだよね?」って感じ。

※思いっきりネタばれしてますので未見の方はご注意を。

「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」の今敏。

特に「東京ゴッドファーザーズ」なんてもう奇跡的なくらい良かった。アニメには珍しく(あんまり観てないから単にわたしが知らないだけなのかもしれないけど)、ちゃんと物語が成立してる。しかも、飛び道具的ファンタジーに逃げ込むことなしに。場面設定やら、人物描写やら、物語の背景やら、そういう面倒な本の土台作りをちゃんとできる。それって、アニメにゃ稀有だ、とそう思ってました。

もっと言うと、宮崎駿の後をとって、”オタク以外にもちゃんと響くアニメ”を描いていくのは彼しかいない、とまでわたしゃ、思ってましたよ…。そこまで評価してるくらいだから、今作、そりゃ、どうしても期待しちゃうじゃない。

でもよ…。一口で言っちゃうとさ。

期待外れ、以上。

なんだよね。

絵も綺麗だし、アニメでしか描けない絵を十分に堪能させてももらえました…、その意味じゃ楽しめましたよ、そりゃ。

でもね、中途半端な感じがどうしても拭えない。

何が中途半端かって、以下2点。

その1。エロが中途半端。中途半端であるがゆえに、下品。

分かりやすく言うと、”とってつけたかのようなエロ”。

ヒロイン(敦子)の裸を描きたいがためだけに、「囚われの身に」的なシーンを挿入。前後の脈絡もなしに最後、理事長と戦う時に、パプリカが赤ちゃんの状態から理事長を吸い込みつつ徐々に成長していき…、おいおい、これもただパプリカの裸を描きたかっただけじゃねぇか!しかも、なんで乳首がそんなピンクなんだよ…。あぁ、オタクの、オタクによる、オタクのためだけの、とってつけたエロ描写。品がないちゅうのはこういうこと言うんだろうね。

どっかでも書いたけど、やるなら、ちゃんと、やれ。やれないなら、やるな。

その2。ファンタジーが中途半端。

物語も成立せず、エロで痺れさせてくれるわけでもなく、じゃあ、もう逃げるところなんてファンタジーしかないですよ(わたしは嫌いだけど)。でも、これまた、なんか既視感に溢れた映像のオンパレード。コピペの連続。

例の電化製品やら人形やらのパレードは平成たぬき合戦or千と千尋。所長がパプリカに侵食されて肥大化するシーンはもののけ姫のデエダラボッチ。最後の赤ちゃんが肥大化するとこはAKIRA、肥大化したパプリカが理事長と戦うシーンはさながらウルトラマン…。はぁ、君の想像力はその程度かい…。 あたしゃ、これをオマージュって呼んであげられるほどいい客じゃないです。

今敏、頼むから、技に溺れないで、周りの高い評価にも溺れないで、オタクにおもねることなく、ちゃんと「大人にも観れるアニメ」をもう1回作ってくれ。