2007/01/19

グッドナイト&グッドラック <2005/米>

グッドナイト&グッドラック <2005/米>

★★★★★☆☆☆☆☆ (5points)

エドマローがどうとか、マッカーシズムがどうとか、メディアがどうとか、そんなことただのネタでしょ、この映画。白黒の画面の中でマローがくゆらす煙草の煙の美しさに痺れる、それが正しい見方じゃない?

映画に物語を求めるわたしはこの映画、評価しません。だって、マローが戦ってるはずのマッカーシズムがまるで描けてないもの。敵を描かなくてどうするよ。観てるこっちに劇中与えられる情報って、極論すると、マッカーシー役の俳優のいかにもキモい顔だけ、じゃん。しかも、なんかそれほど苦しまず、簡単に本来強敵であるはずのマローに打ち勝っちゃうし。物語としては完全に駄作です。

でもね、ふと考えてみるとさ、↑のようなことは、作る側は百も承知なんじゃないかな?百も承知で、「だから何?」って思ってる、そんな気がする。

すごいうがった見方なのかもしれないけどさ、以下のように考えると、しっくりきた(少なくともわたしは)。

作り手が描きたかったのは、「マッカーシズムによるメディア弾圧とそれに抗うエドマローの孤独な戦い」なんかじゃなく、「マッカーシズムによるメディア弾圧とそれに抗うエドマローの孤独な戦い」という題材をネタに(彼らが昔見た)エドマローのTVショウの白黒のお洒落な画面を再現したかっただけなんじゃない?あの当時のあの画面て格好よかったよね。そうそうマロー渋くてさ。じゃ、作っちゃおうよ、映画で。うん、そうしよ。…みたいな。

そう考えるとさ、やたら煙草を吸うシーンが多かったのも納得いかない?だって、白黒画面で映し出される煙草の煙って、見とれるほど綺麗だもん。

2007/01/18

ゆれる <2006/日本>

ゆれる <2006/日本>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

悪くないです。でも言うほど良くもないです。

どっちつかずの感想ですみません…。でも、これが本当のところ。

たぶん原因は全て、観る前に「原作(?)」を読んじゃったこと。この本、(当然だけど)映画のストーリーのまんまだから、全部、観る前から分かっちゃってるわけですよ、こちとら。だから、映画で描かれる物語にはまるで集中できず(つーか、「本と一緒だね」ってことを2時間確認し続けてただけで…)、香川照之きもいなぁ~(=うめ~なぁ~)とか、真木よう子、パッチギやらベロニカやらでいい演技してたけど、ちょい花があり過ぎてこの役(智恵子)はミスキャストだわとか、オダギリジョーは「アカルイミライ」のオダギリジョーが一番好きだなぁ~とか…、要はど~でもいいことず~っと考えちゃって…。

…と、ほぼ原因がわたしにあることは間違いないんだけど、不敬を承知であえて言うと、物語全部分かっちゃってるわたしでさえも画面に見入らせるような「絵」がこの映画になかったことも事実、です。

2007/01/17

オープン・ウォーター <2004/米>

オープン・ウォーター <2004/米>

★★☆☆☆☆☆☆☆☆ (2points)

サメに喰われる恐怖を描いた映画じゃないと思ったら、結局、サメに喰われる恐怖を描いた映画だった。

これ賛否両論の意見があることを知った上で、耳年増になった状態で観ました。ストーリーもある程度、分かってました。

でね、色んな人が「これこそが本当の恐怖だ」って言ってたもんだからさ、海に放り出された2人が、サメの恐怖に怯えながら…、ってのをフックに使いつつ、でも、本当に怖いのはそれじゃなくて、実は別のところにあるのよ、って語ってくれる映画だと思ってたわけ。で、それは観にゃならん、と。

そういう視点でず~と観てたんだけどさ…、結局、その「別のところにある恐怖」が一向に語られないまま、気付いたら、エンドロール。正直、「えっ」って感じ。「なにこれ?ただのサメものじゃん」て。「みんな言ってた本当の恐怖って、ただのサメ?か?」て。もう軽い放心状態。

ま、もしかしたら、そういう映画だって思ってたのは、ただのわたしの勘違いなのかもしれないけど…、勘違いにせよ、サメに喰われる話って、そんなに怖いですか?わたしは「人間が一番怖い」っていうありふれた言い方に、とてもとても強く首を縦に振るタイプの人間なので、動物および人間以外の物体(幽霊とかね)を持ってきて、「ほら、怖いでしょ」っていう映画には、正直、「この映画撮ってる人たち、馬鹿なんじゃないか」と思ってしまうのです…。たしかに「びっくり」はしますよ。でも、「怖く」はないです。

だから、この映画も、「近づきつつある見えないサメの恐怖…で次第に壊れていく人間…という恐怖」をちゃんと見せてくれると思ってたのに…。

これじゃただの「ゆっくりとした&静かな、JAWS」じゃん。喰われるまでのスピードを長くする、および、過剰な効果音を消す、なんて2つの思いつきに、「本当の恐怖」を感じるほど…、人って単純じゃないんじゃないかな?

※ちなみにこの映画、「実話疑惑」に多くの人が喰いついてますけど、わたしは、「そんなことどーでもいいんじゃないの?」って思ってます。だって、例え、実話であったとしても、映画って作り物の域はどうしても出ないし、出る必要もないし。

バーバー吉野 <2003/日本>

バーバー吉野 <2003/日本>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

いい意味でも悪い意味でも、安心して観れる”こじんまり”とした映画。

荻上直子の長編デビュー作。デビュー作だってのにほんと安心して観れる。詰め込み過ぎてひっちゃかめっちゃかになったり、逆に狙いすぎてすっかすかになったりする…気配が、全然ない。うまくまとまってます(ちなみにこれは「かもめ食堂」でもおんなじこと感じた)。

なんて言うか、プラスの方向にも、マイナスの方向にも、観てるこっちの期待を裏切らない、そんな感じ。寅さんやら、水戸黄門やらに、今の時代のシニカルな笑いをほんのちょっぴりまぶした、そんな感じ。

正直、わたしは楽しめました。

…でも、ちょい立ち止まって考えてみるとさ。それって、いいのかな…?

たしかに観てて心地いいんだけど、なんか「それだけ」感も、いなめない。しかも、デビュー作、でしょ。こっから、この監督さんは何を撮りたいんだろ?相当うがった見方かもしれないけど、この監督さん、ただうまくまとまった映画を撮ることだけしか考えてないんじゃないだろか?特にこの映画の後の「かもめ食堂」が「あぁ、やっぱり」って感じの”こじんまり”系だったので、わたしの勘繰りはますます強くなっちゃいます。

小さくまとまった映画なら、大きく破綻した映画の方が「まだまし」だって感じてしまうのは…、今の時代状況からすると、それって、ある種、ロマンチック過ぎるのでしょうか?

2007/01/15

鉄コン筋クリート <2006/日本>

鉄コン筋クリート <2006/日本>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

考えながら見ちゃいけない映画ですね。ビール買ってかなかったことを後から猛烈に後悔しました。

※思いっきりネタばれしてますので未見の方はご注意を。

今回はDVDじゃなくて、映画館に見に行ってきました。東京国際映画祭で見たかったんだけど、時間が合わずに観れなかった、鉄コン筋クリート。

ネットでの評価を見てみると皆さんほぼ以下の論点に焦点化してるみたい。

・松本大洋原作との比較
・声優の出来

どっちも賛否両論あるみたいだけど、わたしはPositiveな感想を持ちました。前者なんてよくぞここまで忠実に再現したって感じの絵になってたし、後者もあんまり違和感は持たなかった。違和感持たなかったというよりも、むしろ、蒼井優(シロ)には正直、ちょい感動したくらい。

ちょいNegativeなこと言うと、クロ役の二宮和也があんまりうまくない。クロの魅力は、あぶなっかしさ(溢れんばかりの狂気をシロへの優しさでなんとかギリギリ包み込んでる、けど、それが時々染み出すように出てきちゃう、みたいな危うさ)にあると思ってたけど、ここの表現が稚拙。なんか声聞いてるとただのお兄ちゃんじゃん。

でだ。

問題は、(上記のクロの声の良くなさとも関係するんだけど)、クロの狂気の描き方が、ちょっと安易、かつ、ちょいレトロ過ぎねぇ~か?、ってこと。クロに対してクロに内在する狂気を「イタチ」というかたちで外部化して表現しちゃう。原作が書かれた1990年代中ごろなら、いいよ。こういうの新鮮味があった時期だから(ACブームなんて、ありましたね、そういや)。でもさ、2007年になってこれそのまんま観せられても、正直、「もう、その方向性、飽きた」ってちょい食傷気味。飽きた、ってのが率直な感想だけどさ、表現の質から考えても、内側にある隠れたものを外に無理やり出してお客さんに観せる、ってちょっとレベル低いんじゃない?二重人格モノのドラマとか流行ったでしょ、昔。あれ、ただ単純に、簡単だからだよ。観せるのが。もうやめにしませんか?

とまぁ、ややこしいこと書きましたけど、アニメ映画としては、よくできてます。アニメにしかできない絵(町を上から俯瞰しながら、そこから下りていって路地裏に入る、みたいな)を存分に楽しめます。蒼井優の出来に震えるだけでも、1800円の価値はあるでしょう。

その意味じゃ、↑みたいな野暮なことをあれやこれや考えながら観るのは、この映画の見方としては正しくないんだろうね…。酔っ払いながら観たら、たぶん、最高な映画です。

2007/01/13

ナインス・ゲート <1999/米>

ナインス・ゲート <1999/米>

★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3points)

B級映画ちゅうのはこういうのを言うんだろうね。

雰囲気はたしかにある。でも、一言で言うと、それだけ。

あとは、完全なるコメディ。

でも、雰囲気がある手前、笑っていいのか場の理解に苦しむ感じで、終始、唖然。

笑わすならちゃんと笑わしてよ!

でも、その悶々とした感じが狙いなのかもね…。そうなら、完全にしてやられたことになります…。

2007/01/07

青春デンデケデケデケ <1992/日本>

青春デンデケデケデケ <1992/日本>

★★★☆☆☆☆☆☆☆ (3points)

偉い!なにが偉いって、こんな弛緩し切った映画を最後まで辛抱強く観た、俺が偉い!

久々にわたし怒ってます。なんでしょ、これ?135分も観たってのにさ、感じるものが、何ひとつない…。揺さぶられるものが、なにひとつ、ない。

なんか、”小学生の夏休みの絵日記の高校3年間バージョン”って感じ。今日は家族と海に行きました。とても楽しかったです。が、今日は女の子と海にデートに行きました。とても楽しかったです、に変わっただけじゃん!ひとつひとつのエピソードがなんか個別に切れちゃって、繋がっていかないしさ。しかも、エピソードがあり過ぎて、全体としてみると、全部ピンボケ。焦点なし。さらにまずいことに、大した苦悩もなくことが進んじゃうからさ、主人公、まったく飛べてないじゃん。だから、どこにも着地できないじゃん。つまり、一言で言うと、物語が成立してないじゃん!!

映画って物語を見せる装置でしょ?で、物語ってある一定の普遍性を持つからさ、例えばまったく行ったことのない国の映画にも共感したり、逆に反発したりできるわけでしょ。そこに映画の意味があるわけでしょ。

その意味で言うとさ、これ、映画として成立していると、少なくともわたしは思いたくない。この時代に青春時代を過ごしたほんの一握りの層にのみ、やっとこさ、僅かながらの意味(懐かしいっていう思い、ね)を生じさせられる、そんなもの、結婚式でよく流れる「2人の馴れ初めビデオ」とおんなじレベルじゃねぇ~か!

ちなみに、単純に青春時代のバンド物語を観たいなら、「リンダ・リンダ・リンダ」の方が10倍まし。青春の青さを観たいなら、「パッチギ!」の方が100倍まし。いや、「パッチギ!」を出すまでもなく、「ぼくらの7日間戦争」の方が断然まし!

もう1回言います。わたし、怒ってます。

以上

※今回ネットで評価みてたら、超意外なことにやたら高評価なのに、正直、驚きました…。

2007/01/06

花とアリス <2004/日本>

花とアリス <2004/日本>

★★★★★★★☆☆☆ (7points)

過剰な絵がやや邪魔。せっかく本と役者がしっかりしてるのに。

ストーリーは2人の女の子がある出来事をきっかけに右往左往しつつ、それを乗り越えて、次のステップへ、っていう極めて王道路線(通過儀礼モデル)。別に新しくもないけど、それはそれでしっかりしてる。

役者(鈴木杏/蒼井優)もうまい。蒼井優の微妙な表情の演技にはおじさんちょっと痺れた。

でもさ、ピンボケ+白飛びしまくりの絵は、ありゃ、なんとかならんもんか?たしかに少女漫画っぽい物語にはあれが必要なのかとも思うけど、ちょい過剰気味。少女漫画好きのおばちゃんと、少女漫画に出てくる少女好きのロリコンおやじにしか、効果を発揮してないんじゃね?わたしゃ、コンタクトの調子が悪いのかと思って何回も目薬さしちゃいましたよ…。ってのは冗談としてもよ、もっと本と役者を生の形でみせたほうが映画としてプラスなんじゃないかね?

ナイスの森 <2004/日本>

ナイスの森 <2004/日本>

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ (0points)

人のお金使って遊んで、それが何がしかの芸になるのは、とんねるずだけです。

個人的に、映画は物語(意味のかたまり、ね)に映像をのっけたもんだと思ってますので、これは映画じゃなくてただの映像です。意味をどうしても求めちゃうわたしが古い、のかもしれんが、こればっかりはどうしようも、なし。

ってことで、本作、評価のしようがありません。でもたぶん作り手はそれで本望でしょう。遊んでるだけなんだから。

2007/01/05

でらしね <2004/日本>

でらしね <2004/日本>

★★★★☆☆☆☆☆☆ (4points)

いたって真っ当な監督が変態っぽくみせようと頑張れば頑張るほど映画が下品になっていく、ということの証のような映画。

この監督、常識人でしょ、たぶん。人となりなんて全く知らないけど。なんか無理して、変態の方向にベクトルを向け過ぎてる気がして、痛々しい。これが率直な感想。変態ベクトルはいいとして、やっぱ、突き抜けないんだよね…。突き抜けないから、その途中で、ヘロヘロってなって、なんかこっちが逆に恥ずかしくなる…。やるなら、やるとこまで、やって下さい。やらない、もしくは、やれない、のであれば、やらないで下さい。以上、かな。

2007/01/03

タブロイド <2004/メキシコ・エクアドル>

タブロイド <2004/メキシコ・エクアドル>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

これ、まあまあいいと思いました。でも、後味が悪過ぎて、なかなか消化し切れません…。感想書くのはしばしお待ちを。

好きだ、 <2005/日本>

好きだ、 <2005/日本>

★★★★★★☆☆☆☆ (6points)

奇跡の前半。蛇足の後半。 最後の最後で出ちゃった「色気」で全部台無し。

物語はこんな感じ。

どこにでもありそうな田舎で育った同級生2人(宮崎あおい・瑛太)。17才の2人はお互いに思いを抱えながらも、それを口に出せない。で、突然の別れ。17年後(お互い34才)偶然の再会(永作博美・西島秀俊)。お互い17年分のいろんな想いを抱えながらも、まだ言えない…。

ま、この映画、言えない一言はタイトルから既にネタばれしちゃってるんで書いてもいいか…。そう、「好きだ」の一言が言えない2人。17才では言えずに離れた。34才でもなかなか言えない…。そして、2人は?みたいな。

で、書いてて、再認識しましたが、「好きだ」が言えようが言えまいが、そんなことは正直わたしにとってはど~でもいいんです(だって今書いててちょっと照れましたもん…)。映画的な主題としても、そんなことが主題じゃないでしょ(と思う、思いたい)。だってさ、仮に17年後に「好きだ」が言えたとする。そうだとしても、「だから?」でしょ、正直…。「あ、そう」でしょ、もっと言うと。

じゃあ、主題は何なのかと言うと、これ完全にわたしの主観ですが、「間」なんだと思うんですよね。2人の会話の「間」や2人の間の空間的な距離感。2人が「好きだ」を言えるかどうかなんてただのおまけ(ふりかけみたいなもん)で、この映画はただ単純にその「間」をお客さんに観てもらうことだけが主眼の映画なんだ、と、まぁ、こう、勝手に思って観てました。

そういう(超自分勝手な)視点で観てるとね、特に前半はすごいですよ。いや、本当にすごい。びっくりした。ちなみにわたしは自分がすごいと思うものに遭遇した時に背筋が寒くなるという癖(?)を持っているので、その体感を基準に物事を判断してるところがあるのですが、前半はもう、ものっすごく寒かった…。

何がすごいってさ、

まず、微妙な距離で立つ2人。これがまあ、なんというか、言葉で表現しようとすると、「寄り添いそうで寄り添わない」(…)なんて本当に陳腐な言葉しか、語彙の少ないわたしには思い浮かばないんだけど、これが本当に絶妙の距離(ま、観て下さい)。しかも、舞台は土手の上。それを下から見上げるように撮る形なので、2人の背景はおっきな空。おっきな空にちっちゃな2人(ちなみに前半戦の背景は80%空です)。その距離感を見せたいがゆえに、この構図になったのだと、わたしは思う。この構図、奇跡です。しかも、その微妙な距離が唐突に縮められて…、まぁ、回りくどいのでそのまま言うと、土手でキスするわけですが、その時の「ふっ」って一瞬時間が止まったような感じ(あぁ、また表現が陳腐だ…)。告白しますが、わたし、その瞬間に「んぅぉ」と短く息のみましたよ…。しかも、声付きで。

そしてそんな2人がぽつぽつと、かつ、ぼそぼそと、しゃべる。これがまぁ~、リアルです。17才だったころの自分が好きな人としゃべってるの思い出すと(正確には思い出せないけど)、たしかにあんな感じだったんだろうなぁ、と思う。なんつうか、言葉の50%くらい「あぁ」とか「まぁ」とか「そぅ」とかで、相手の反応を考えすぎるあまり会話に不自然な間ができちゃって。若いころの自分を思い出して懐かしくなり…、なんて余裕はわたしにはまるでなく、ただただその会話のリアルさに、痺れました。

でだ。

後半…。

奇跡の前半を観せられただけに、実は、わたしの中ではこの映画は前半で終わっちゃってるので…、あとは全部、余計でした。たしかにいいところもあるんです。西島秀俊と永作博美がなんにもない暗い部屋で2人、会話を交わすシーンなんて、あぁ、17年前のあの「間」が今はこうなのねぇ、分かる分かる、と思った。一面、空だった背景が、今はこのがらんとした暗い部屋。窓の外は非常にありきたりななんでもない「東京」の風景。ちょい背筋が寒くなったりも、たしかに、した。※28才のわたしは”どちらかと言えば34才の2人に近いという端的な事実”に若干愕然ともしたが…笑。

でも、最後の最後で全てを台無しにするような出来事が起きちゃいます(これ書いたら観る気が起きなくなると思うので書きません)。

全部わたしの勝手なのかもしれないけど、映画の主題がいきなりそこで「好きだ」を言うっていうそんな詰まらないことに塗り替えられちゃう。おいおい、それはあくまで「ふりかけ」だったでしょぅ。もう一度、思い出せ。それはどうでもいい些細なことなんだって、この映画にとっては…。いや、一応、物語を完結させるために、どっかでそれ言わせてもいいよ。でも、それ言わせるためのフックとして、それ使っちゃダメでしょ~、いくらなんでも。

…たぶん、監督は、最後にどうしてもほんの少しのカタルシスが欲しかったのだと思う。ついつい色気出ちゃったのだと思う。いや、監督じゃなくて、映画の興行的な部分でそれを周りが無理に挿れさせたのかもしれぬ。でも、どっちにしてもそんな飛び道具使っちゃったら、この映画は、やっぱり「好きだ」をずっと言えずにいた2人が最後に「好きだ」と言えました、そして最後はちょっと感動的でした、ちゃんちゃん、ってことになっちゃうじゃんか!

ってことで、後半は蛇足。立つ鳥あとを濁しまくり。

※ちなみに今回色んなサイトのこの映画の評価を見てたら、多くの人が宮崎あおいを「アイドル女優」として見てたことに、おじさん、気付いた。「アイドル女優だと思って観てたら、意外と演技がうまくて驚いた」みたいな。それもこれも「NANA」の影響か!?「NANA」なんて気恥ずかしくて観るに観れないおじさんとしては、宮崎あおいは「ユリイカ」で奇跡の演技をしていた女の子の印象しかないので、今回の「好きだ、」でも「お~やっぱりすっげえうまいなぁ~」って印象でした。
※さらにちなみに、タイトルの最後に「、」を付けるのって、もうそろそろ寒くないですか?モーニング娘。から何年経ってると思ってるんでしょう…。DVDの特典映像で監督(石川寛)が、その「、」には意味があって、「好きだ」の後に何らかの言葉が続いていて…、みたいな説明をしてましたが、その説明がますます寒いです…。